短いの

□白
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暁に入った頃からの馴染みのあいつは、

性格が男前で、
口調も男らしいし、
暁で小南以外の唯一の女で実力者。
その強さはオイラをも上回る。(認めたくないけどな!)



いつもオイラをからかっては余裕の笑みを向けるあいつが苦手で、女として見るなんざ到底無理だと思うんだ。












ソファーに座って新聞を読むそいつを見て思う。
外見だけ見れば魅力的なのだ。
肌白いし、目ぇデカイし、薄い唇にほど好く肉付きの良い完璧なスタイル。
そんじょそこらの女より断然可愛いと思う。

じっと見ていたら視線に気付いたのか新聞から顔を上げこちらを見上げた。



「どうしたデイダラ。そんなに見られたら穴が開いてしまうよ。」


「別に。っつかお前だったら穴開いても生きてそうだよな。うん。」


「某何とか様のようだな。目指してるのか?それにいくら私でも穴が開いたら死んでしまうよ。デイみたいに頭に非常食も付いて無い平凡な人間だからな。」


「目指してねぇよ!っつーかバナナじゃねぇっつってんだろうが!!うん!!!」


「おや、私はバナナとは一言も言っていないのだが。自覚症状があったんだな。」




ほら、こういう所が嫌なんだ。これさえ無ければ少しは女に見れるだろうに。
完璧な顔とスタイルを持っていても性格がこれじゃ宝の持ち腐れだ。


ニヤリと音が出る位の笑みに苛立ったオイラは、ドアを破壊せんばかりの音を立てて閉め憤然と自室に向かった。











気付いたら辺りが真っ暗になっていた。
部屋に帰ってからの記憶が無いがベットの上に居る事からここに来て直ぐに寝てしまったのだろう。最近立て続けに任務が入って疲れていたからだと納得した。

久しぶりにベットで熟睡したからか疲れは殆ど抜けていたが寝汗をかいていたらしく体がベタベタして気持ち悪かった。



「風呂にでも入るか、うん。」



アジトの各部屋にはシャワールームが付いているがアジトの奥には大浴場も付いている。
基本的に任務が長期間なメンバーの疲れを癒そうというリーダーの粋な計らいにより実現している。(リーダーが掘り当てた実質タダの温泉が。だから角都も何も言わない。)
自分は基本的に面倒だからと言う理由で自室で済ませているのだが、今回は折角だから久しぶりにのんびりお湯に浸かってすっきりしようと思った。



「そうと決まれば善は急げだな。うん。」



そう言って着替え一式を掴んで浴場へと向かった。


アジトは洞窟に作られている為基本常にじめじめとしている。その為浴場に着く頃にはじっとりと肌が濡れていた。
これも部屋で済ませる理由の一つだ。



「ん…?何で電気点いてんだ?」



脱衣所の方を見ると扉の隙間から僅かながら光が漏れていた。

大浴場は自分と同じ理由で普段使われていない。飛段が好んで使っている位だ。
おそらくその飛段が電気を消し忘れたのだろうと考え小さく嘲笑した。
でなければこんな深夜に電気が点いているはずがないのだから。



「飛段の奴も馬鹿だな。消し忘れる度に角都に叱られんのによ、うん。」



ガラリと勢いよく扉を開ける。
アジトの中でも奥の方にある為深夜でも遠慮はしない。まぁ、普段からしてないが。



「…デイダラ…?」



「あ?……あ。」



誰も居ないと思っていた。誰も居ないはずだったその場所にはポツリと人影が。


一糸纏わぬその姿に唖然とする。
相手も誰も来るはずがないと踏んでいたのかポカリと口を開けて全ての機能を停止している。

そう言えばこいつはアジトに部屋を持つ唯一の女で(小南は雨隠れ。)温泉が好きなこいつは脱衣所が一つしか無い為時間帯を決めてここを使っていたのだと。
しまった、と思った時には相手が起動を再開していた。



「や、違っ、違う!!オイラ、」


「五月蝿い!出て行け!!」

「だからオイラは!いてっ」


「いいからさっさと出て行けこの変態野郎!!」



慌てて弁解しようとしたが相手はタオルで前を隠ながら手当たり次第に物を投げてきた。タオルとか何でそんな勢いで投げられるんだよ!!


投げられた物が避け切れず何個か当たり、オイラは見事に追い出された。(というよりも勢いで後ろに倒れた。)
反動で閉まった扉を呆然と見つめる。今頃扉の奥では憤然としながら着替えているのだろう。



「ってかあいつ…あんな顔出来たんだ…。」




白い肌に華奢な体躯そして豊満な胸。

そんな物は19歳にもなった今見慣れたものであるからどうだっていいのだ。

彼女の動揺した態度、真っ赤に染まった頬、普段の余裕の欠片など何も無く、恥じらう姿は女そのもの。


普段と真逆さにオイラは不覚にもすっかり魅せられてしまっていた。










(ドクリと波打つ心臓に気付かない振り。)
(あんなの反則だ!!)














********
普段強気な女の子が焦ってると可愛いと思うんだ!
そしてデイは焦ってる彼女を見て若干の優越感を感じてそう。(笑)



20100731

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