短いの
□アイ届かず
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彼は簡単に血を流す。
それが生き甲斐だとでも言うように。
鎌を振りかざし、相手を死に追いやる様はまさに死神。
何処を貫かれようとも、何処を切り裂かれようとも、彼は再び返り咲く。
だが、不死身だと豪語する彼にも限りはあるのだ。
例えば、首を撥ねれば体はその機能を停止させ、縫い合わせる者がいなければ二度と戻りはしないのだ。
例えば、彼も元は普通の人間。栄養がなければその体は朽ちていくだけだ。
例えば、彼の崇拝するジャシン様の示す戒律を少しでも破れば彼はたちまち只の人と化し、強さを失うのだろう。
「なぁに難しい事考えてんだよ。俺は不死身だから死なねぇぜぇ!」
だから私は怖いのだ。
彼の傲慢さがいつか仇となりそうで、
彼がいつの日か壊れてしまいそうで。
私はただ怖いのだ。
この笑顔を、私の髪を乱暴に掻き乱す大きな手を、温もりを、心地の良い低音を、
何より、居場所を与えてくれた彼を、
失う事をただ恐れているのだ。
任務へと繰り出した彼は数ヶ月後、土へと還った。
哀
アイ 届かず
愛
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初飛段夢。
管理人の疑問が一杯詰まってます。(笑)
2010818