短いの

□堕ちた!
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「私は里を裏切れない。」


「じゃあ、これなーんだ?」


「あ。」



首を振る私の前で黄色い液体の入った容器を指先で摘んで振る。
それはサソリが里に居た頃から使っていた容器でいつも新作の毒の解毒剤を入れていたやつだ。つまりあの中身も解毒剤な訳で。私は目を丸くした。
それを見てサソリがニヤリと、昔と変わらぬ意地の悪そうな顔で笑う。



「中身が何か分かったようだな。俺に着いて来るならこれをやる。」


「ちょ、卑怯者!」


「手段は選ばない性でね。どうする?そろそろ限界だろう?」


「ぬぅ…ぅ…。」



このサディストめ!と叫んでやりたかったが本当にもう限界が近い。
サソリのよく分からない模様の描かれた服をありったけの力で握る。



「何で今更私なのよ…。」


「お前が欲しいからだ。」


「私達別れたじゃん。」


「は?別れたつもりはないぜ。」


「でも勝手に出てった。」


「でも別れは言ってない。」



心底楽しそうにやり取りをするサソリ。ああ、そんな顔しないでよ、閉じ込めた恋心がまた出てきちゃうじゃん。



「もう一度言う。俺と来い。」



柔らかく、そして真剣なサソリの顔。至近距離で男前にそんな顔されちゃ折れるしかないじゃないか。



「あーあ…私もついに抜け忍かぁー…。」


「ま、観念するんだな。ソォラ!」


「ふぎゃっ!もっと優しく!」


「俺の辞書に優しい何て言葉は無ぇ。」


「薄情者!!」



手に持ってた液体(注射タイプ)をおもいっきり太股に刺された。普段はそうでもないが油断してる時にやられると相当痛い。
ニヤリと笑うサソリ君よ、凄くご機嫌だねぇちくしょうめ!!



「まだ暫くは動けねぇだろうし、ここに居たらまた新たな追い忍が来るかもしれねぇから…移動するぞ。」


「え、それは嫌だ。私走れるから!お姫様抱っことか嫌過ぎる!」


「黙れ馬鹿。今のお前はただの足手まといだ。これが嫌なら担ぐ。」


「え、それも嫌…ちょ、待って…!ぐえっ!走んないで胃袋がっ…ぬあぁぁあ!!!;」






あんたにゃ負けた!





(死ぬかと思った…)
(死んだら傀儡にしてやるよ。)
(遠慮します。)






*****
サソリさんはもう仙人か妖精だよね。って思った。



2010320
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