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□三日月
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昔々のお噺です。
ある日の夜空には三日月と厚い雲がありました。
でも、地上からは三日月は見えません。
そして、空を見た人はいつの間にか涙を流していました。
それが、どうしてかは分かりません。
ある時、雨が降り出した。
空を黒く厚い雲が覆い、人々を不安にさせた。
それからも雨は降り続けた。
でも、いつの日か雨は降らなくなり、厚い雲もなくなっていった。
綺麗な三日月が見え、それは微笑んでいるようだった。
人々は学習し、殺めあうことをやめた。
そして、悲しむ人はいなくなり幸せそうにしている。
今日も綺麗な月が昇り、微笑んでいた。
いつかの少年・少女はいなくなり、空は澄み渡っていた。
これは昔々のお噺。
人間の笑みによって満月が空に昇るだろう。
→あとがき