短編集

□夢の続きは
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「んぁ…っ、ぎん…さっ」


ガバァァァ!

……え!?…ゆ、夢?


飛び起きて目に入ってくるのは、いつもと変わらない座敷と襖。しかし見てしまった夢の内容にいつもとは比較にならないほどに煩い鼓動。


え…、俺…なんて夢見てんの!?てか…え!?あれ…え!?


口に手を当ててゼィゼィと息を吐きながら、何となく落とした視線の先に瞠目する。


う…嘘だろ…


既にやんわりと主張している自身を唖然として見つめ「イヤイヤ、朝だし!?ほら銀さんもまだまだ若いってゆーか…!?」と誰に言うわけでもない言い訳を並べていく。

その時…


「おはよーございまーす」
「!!」


急に空いた襖から、先ほどまで夢の中で自分が組み敷いていた人物が顔を出す。

「し…しんぱっ」
「あれ?銀さん珍しいですね、一人で起きたんですか?」


首を傾げながら、近づいて「熱でもあるんじゃないですか?」と言うと、まだ何も言えないでいる銀時の側にひょいと腰を下ろし、自分のおでこを銀時のそれにくっつけた。

瞬間。息を止め、目を見張る銀時。


「ん〜…熱はないみたいですけど、顔真っ赤ですし、もう少し寝てた方がいいですね。今お水持ってきますから。」


離れながら言う新八に、ただ「はい」としか答えられず、そんな銀時を見て、出て行きざま「変なの」と笑う顔に、ドキリと心臓が跳ねる。


ッ…なに!?だ…だ眼鏡のくせに、おでこコツンとかなに!?可愛すぎんだろがァ!


布団の上で悶え続ける銀時は、少し開いた襖から覗く呆れたような視線と酢昆布を噛むクチャクチャという音にまだ気付いていなかった。


「馬鹿アルな」
「わんっ」



END*
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