REST
□【宙(ソラ)の貴方へ】
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今日も終わる。
貴方はまだ帰ってこない。
そっとドアを開ける。
煌めく星空と丘の下を流れる小川が美しい。
「ジョン、はやくおいで」
大型犬ジョンが白い尾を振り回し、丘の中腹からこちら、頂きへと駆けてきた。
ジョンは勢いよく餌箱に頭を突っ込むと、あっという間に中身を平らげた。
うん。今日もいいたべっぷりだ。
彼女もまた深く頷くと、食べ掛けのスープを食すため、家の中に入った。
そこで彼女は、明日のことを考えた。
自身が1つ歳をとる日に一体何をつくろうか。
テーブルクロスに描かれた小さな林檎に目がとまった。
よし、これにしよう。
彼女は明日、アップルケーキを焼くことにした。