REST

□coming soon
1ページ/8ページ

窮屈そうに建ち並ぶビル郡の狭間から見える曇り空は、7階建てマンションの窓から雑踏を意味もなく眺める永田雅司の心持ちに似ていた。

ここ数日、彼はなんとも言えない不愉快な気だるさに苛まれていた。
何もする気にはなれず、ただ何もかもをうざったいと感じる、どうしようもない心持ちなのだ。


「やっぱ俺、鬱なのかも」

6畳間の隅で、雅司は自分自身に呟いた。



何もする気がなくとも、腹は減る。
雅司はのそりと体を起こし、狭い流し台と簡素な折り畳み式テーブルの「台所」に向かった。
小さな冷蔵庫から昨日の晩に食べ残したオムレツと少量のウインナーの乗った皿とケチャップを取り出した。
こんな残り物でさえ、以前はあるだけで喜んでいた。
しかし、最近の雅司にとってそれは命を繋ぐためだけに食す、味のない物体でしかなかった。

蛇口を捻ると、ガラスコップに12月の外気に冷やされた真水が勢い良く飛び出てきた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ