E047

□実験記録03
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高瀬は元々、極めて普通の製薬会社の研究所に勤めていた。
才能ある研究員として扱われていたところに、今の研究所がスカウトをしたのだ。
人体実験を咎められる事のない環境というものに、高瀬は興味があった。
研究者として、人体実験というのは夢のような話である。モルモットを相手に実験をするのとは話が違うのだ。

そうして新しい研究室へ配属された高瀬の元に初めてやって来たのが、陸だった。

「ふぇっ…ぅぐ ぁうゔッ…」

今にも壊れそうな細い身体を快楽で赤く染めながら、陸はどんな実験にも堪えた。
前立腺を一日中刺激し続けたり、腕ほどもあるノズルに直腸を吸引されてもだ。

失神するほどひどい実験をされても、陸は決して"帰りたい"とは言わなかった。
自分が研究所から逃げ出せば家族に危害が加わる事を恐れているようだ。とても聡い子だった。
そして、あまりにも純粋だった。

「今日はとてもよく頑張ってくれたから、ご褒美だよ」

そう言って初めてフレンチトーストを陸に作った時の事だ。

陸は生まれて初めて見るフレンチトーストに目をしばたかせて首を傾げた。

「たべて…いいの…?」

高瀬が微笑んで頷くと、陸は餓えた野良犬みたいにフレンチトーストにかぶりついた。
皿の隣にはフォークも置いてあったけれど、陸はその用途を理解していないようだった。

「そんなに慌てないで、味わって食べなさい」

苦笑しながらべとべとになった陸の口周りをウェットティッシュで拭いてやると、陸はきょとんとして高瀬を見上げていた。



ある日高瀬はいつものように陸の白い部屋へやって来ると、「今日はお客様がいるよ」と告げた。

「おきゃくさま…?」

「牧場を営んでいる方が、牧場で使う新作の機具の性能を確かめたいそうだ…もっとも、人間牧場だけどね」

にんげんぼくじょう、と陸は頭で何度も反芻したが、意味が分からなかった。
陸の僅かな知識では、牧場は確か動物がいる所だ。

「今回は家畜を前提とした実験だから、四つん這いになって準備してね」

高瀬の言葉に頷き、陸は実験台の上で四つん這いになる。

それから10分ほどして、牧場主が所長に連れられ研究室へとやって来た。

「ほほう…これはまるで子ヤギのようですな」

醜く太ったその牧場主は、下品な指輪でゴテゴテに飾った手で陸の身体を確かめるように撫で回す。

「では、早速これを試して頂きたい」

「これは…」

「搾乳機ですよ。最もこれは雄の家畜のペニスからミルクを搾り取る為のものですがね」

「なるほど」

高瀬は頷くと、先端にチューブが付いた太めの試験官のような形状のものを陸のペニスに嵌めた。
そのチューブの先は、箱型の機械に繋がっている。

「では、実験を開始します」

高瀬の指が、機械の起動スイッチを押した。
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