school days

□颯太の話1
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夕方になり、兄ちゃんが「そろそろ夕飯の支度するか…」と立ち上がった。

「祐介も食べて行くよな?」

「え、いいんすか!?」

「そうしろよ、皆で食べた方が美味しいし」

逸もこくこくと頷く。

兄ちゃんはニッと笑って「よーし、じゃあ気合い入れて作るか!」とキッチンへ消えていった。
逸がその後をとたとたとついて行く。

祐介は「晩飯なんだろなー」と鼻歌を歌いながら勉強道具を片付け始めた。

「そういえばさ、そーたっていつも図書室で何してんだ?」

「え?何って…勉強したり、本読んだり…何でそんな事聞くんだよ?」

「いや、本なら借りて行けばいいし、勉強なら家に帰れば春兄に見てもらえるじゃん?なのに何でわざわざ図書室に残んのかなーって思ってさ」

「んー…実はさ、図書室に変わった奴がいるんだ」

「どんな?」

「サラサラってしてそうな金髪でさ…俺が図書室に行くと、いつも図書室で寝てるんだよね」

「ふーん?ヒトメボレ?」

「いや、そんなんじゃないけど…なんか、変わった奴だなって」

「そいつを見るために図書室行ってんの?」

「どうなんだろ…んー…ただ、気になる、みたいな…」

「へぇー…」

祐介は何かを考えているようだったが、すぐにパッと笑顔になって「俺も今度図書室行ってみよっかな!」と言い出した。

「漫画とか置いてあんの?」

「うーん…ブラックジャックぐらいなら置いてあるけど…」

「じゃ、それ読みに行こっと」

にこにこ笑う祐介が何を考えているかは分からないけど、まぁ楽しそうだからそれでいい事にした。

それからのんびりテレビを見ていると美味しい匂いが漂ってきて、「できたぞー」と兄ちゃんと逸が料理を運んできてくれた。

今日はでっかい煮込みハンバーグだった。きのこと玉ねぎも一緒にトロトロに煮込んであるそれは、逸の好物だ。

「「いただきまーすっ」」

俺と祐介はすぐにハンバーグにかぶりついたけど、目の前に置かれた大きなそれを見て逸が何か言いたそうに兄ちゃんを見る。
兄ちゃんが逸の頭を撫でて「食べれるだけ食べればいいんだぞ」と言うと、逸はほっとしたようにこくんと頷き、「いただきます」とハンバーグを食べ始めた。




「ごちそうさまでしたっ」

「…ごちそうさまでした」

「はいはい、お粗末さまでした」

結局俺と祐介はハンバーグをぺろりと平らげて、逸は半分を兄ちゃんに食べてもらっていた。

「あ、片付けは俺とそーたでやりますよ」

「いいのか?」

「うん、兄ちゃんと逸に作ってもらったしさ」

「そうか、ありがとな。じゃあ俺達はのんびりしてるか」

「…ん」

俺と祐介は皿を重ねて流し台へと運んでいく。

その日は夜の8時くらいに祐介が家に帰って行き、逸はうちに泊まって行った。
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