桜
□幕間 疑心
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けれども
彼女からは、何の霊力も感じられなかった
おそらく、戦う術すらもっていないだろう
そして
みなと過ごす姿は
嘘偽りなく
本当に幸せそうに見えた
ある考えが浮かんだ
彼女は、人の心を読む力をもっているのではないか
実際に接していると、本人よりも深く心を感じ取る力が、あるように感じた
いつの間にか
誰しもの心の中へ入り込み、魅了しているように見えた
それは、私も例外ではなく
気がつけば
その存在は、必要不可欠なものであるように感じていた
最初は
お酒を飲ませて、事情を聞き出してみようと思っていた
けれども
そんなことをする必要が、あるのだろうか
聞けば私たちの目の前から、消えてしまうのではないか
そんな気がした
そう感じたとき
『彼女のことを失いたくない』
という感情が芽生えていることに気がついた
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