桜
□幕間 愁嘆
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彼女は、お酒が好きだった
最初は
飲むと何でも話してくれるし
素直な気持ちが聞ける気がして、酔った彼女といるのも楽しかった
いつの間にか、彼女の隠しごとを聞き出したいとは、思わなくなっていた
けれど
気がつくと、そのお酒すらも我慢できなくなっていた
ある日たまたま、珠紀さんの家で夕飯をご馳走になり
帰ると彼女は飲んでいた
急に冷たくされて、嫌われたのではないかと思った
それが彼女の本心ではないか……
不安が胸をよぎった
家に帰りたい気持ちがあるのは知っていた
だから、いつか帰りたいと言い出すのではないか
それは、私の勝手な思いこみではあったけれど
何か考えている彼女の表情を見ていると
そう思わずにはいられなかった
もう少し、大きな器で接してあげていたならば………
後悔してもしかたない
でも、自分の行動のすべてに、後悔がつきまとっていた
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