NL小説

□君と共に生きる
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べんべんべん


三味線の美しい音色が鬼兵隊の船に響き渡った。


三味線を奏でる高杉の隣に寄り添うようにまた子は座っていた。



「晋助様の奏でる三味線は本当に美しいっスよね〜」


「昔、同じこと言われた。」


「誰にっスか?」


「俺がこの世界でもっとも尊敬する人に...。」


そう言った高杉の瞳はとても悲しそうだった。


高杉のこんな表情を見るのは初めてだった。


「松陽先生、スか?」


「あぁ...。」


詳しくは知らないが松陽先生についてまた子も知っていた。


“何も罪のない先生を殺したこの国が憎い。だから、俺はこの国を壊す“


そう、前に高杉は言っていた。


「松陽先生に男児たるものどう死ねばよいのかと聞いたことがあるんだ。」


「何て返って来たんスか?」


「”死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし“松陽先生はそう言った。」


また子は言葉の意味が分からず首を傾げた。


それが可愛くてククっと高杉は笑った。


「“死んでも志が残るものであればいつでも死ねばよい。生きて大業を為せるならばいつまでも生きてそれをやればよい“と言う意味だ。」


高杉はそう言うと三味線を置き、また子のことを抱き締めた。


「し、晋助様!???」


「正直、先生がいなくなったこの世界で生きていく意味なんてないと思ってた。でも、お前と出逢って考えが変わった。」


もう少しこの世界で生きてみようと、


この女と共に歩んで行こうと、


そう思った――


「晋助様、また子は一生晋助様について行くっス!」


「その言葉忘れんなよ?」


「はいっス!!」



なぁ、松陽先生――


俺は先生の言葉通り生きてみようと思う。


だから、空の上から俺達のこと見守っててください...

君と共に生きる

(私はいつまでも貴方の側にいる)
(二人で共にこの世界で生きていこう)
(命果てるその日まで――)

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