NL小説
□何十年何百年立っても
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空の下ではクリスマスソングが鳴り響き、恋人達が手を繋ぎながら冬空の下を幸せそうに歩いているのだろう。
また子は船の中から窓の外を眺めそんなことを思っていた。
ふーっとついため息をついてしまった。
「どうした?」
突然聞こえて来た声に振り向けばそこには高杉がいた。
「何でもないっス。」
そう言えば高杉は納得がいかないと言う風にまた子のことを抱き締めた。
思いもよらぬ高杉の行動にまた子の心臓はばくばくと鳴り響いた。
「隠し事はなしだぜェ。」
低い声でそう言った。
「今日はクリスマスだなって思ったんスよ。」
「そうかもうそんな時期かァ...」
高杉はそう言いまた子と同じように窓の外を見た。
思い返せばまた子と出逢ってからクリスマスに何か特別なことをしたことがない。
また子は他の人達と同じようにクリスマスは何かしたいと思っているのだろうか。
「――また子」
「何スか?」
「今日はクリスマスなんだ。だから、何かお前にあげるぜ。何が欲しい?」
そう問いかければまた子は目をパチパチとして驚いている。
「まさか晋助様がそんなこと言うなんて思わなかったス...」
また子はクスクス笑いながらそう言った。