びーえる
□本当の気持ち
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自分がわからなくなる。この気持ちは、何‥‥‥?
部屋に戻っても、ずっとおかしかった。わけのわからない、モヤモヤしたような感じ。
なぜか神田と一緒にいたい、離れたくないと思った。
「なあ、ティム‥‥僕、どうしちゃったんだろう‥‥‥」
さっきから出てくるのは溜め息ばかり。こんなことじゃ、まともに仕事なんてできない。
僕の問い掛けに答えるわけでもなく、ティムはパタパタと宙を飛んでいる。
呆れて溜め息をつけば、神田のことが気になった。
「神田、今何してるんだろう‥‥‥」
相手の事をもっと知りたいと、不覚にも思ってしまう。
どうしてこんな事を思うのか、全くわからない。
こんな気持ちは初めてで、不安になる。
――ラビに聞いたらわかるかな?
不安で不安で仕方なくて、早くこの気持ちの正体が知りたくて、少しだけ重く感じる体を起こし僕は部屋を出た。
ラビの所へ向かっていると、リナリーが前から歩いてくる。
「あ、アレン君!」
僕に気づくと、嬉しそうに走ってきた。
笑顔で手を振りながら走ってくる姿はかわいいけれど、時々見せる黒い笑みや問題発言が怖い。
「リナリー!?」
「はぁ‥‥はぁ‥‥ごめんなさい、アレン君。兄さんがこき使って‥‥‥」
息を調えながら謝罪の言葉を述べる。
全く気にしてなかった――寧ろそんな余裕がなかった――ので、逆に申し訳なくなって慌てて首を横に振る。
「い、いいんですよこれぐらい。こき使われるのは慣れてます。それに、お世話になっているんですから気にしてませんよ」
にこっと笑ってみせる。すると相手は安心したのか、ほっと一息ついて笑った。
でも少し頬を膨らませて怒った様に言う。
「アレン君が気にしてなくても駄目なの!兄さんにはもうしないように言っておくから」
だいたい、これは私の仕事なんだから、と呟くとリナリーは去っていった。
きっとコムイさんの所まで行ったんだろう。
そういえば、リナリーはエクソシストであると同時にコムイさんの助手だった。
「大変だろうなぁ‥‥‥」
独り呟くと、僕はラビの部屋に向かって歩き出した。