禁忌の彼と禁断の彼

□序章
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 ショートの銀髪に少し鋭い銀眼の小柄な少年――禿 当夜がいた。
 そして、当夜は黒髪ショートで黒い瞳の少年――朝吹 光と部屋で静かに雑談していた。

「明日から出兵だな」

 当夜は小さく頷く。この二人は僅か10歳だが、出兵させられてしまう。理由は人員不足。

 国と国との争いは熾烈なものとなり、死傷者は増大。これが人員不足に繋がり、二人を含めて合計57人の子供が出兵する事になった。

 なぜ、57という微妙な数なのに少ない数になったか…。それは57人が健康で病気や障害を抱えていない“孤児”の男の子だからだ。

 親のいない57人の彼らは意味も分からずに突然、国の兵士に孤児院から連れ出された。

 もちろん、院長はそれに抵抗したが、その行為は国に対する反逆罪とされ、その場で斬り殺されてしまった。

 血を流しながら倒れている院長を見、兵士以外の全員が唖然とした。
 今まで一生懸命育ててくれた人が目の前で殺されたのだ。無理もない。

 泣いたり発狂したりする者がいたが、逃げ出したり兵士に襲い掛かろうとした者はいない。怒りや憎悪よりも恐怖が大きかったのだろう。
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