禁忌の彼と禁断の彼
□序章
2ページ/5ページ
「今までのふざけた訓練が戦争で死なないようにする為にしたのなら、少しは怒りを抑えれるな」
光は眉間に皺を寄せ、怒りを露にしながら当夜に同意を求める。しかし、当夜は光に同意しなかった。
「…あれは憂さ晴らし」
「そうだな。あんなのただのストレス発散の為の無意味な暴力だよな。それを忘れるような言動は慎んだ方が良いな」
光は当夜に申し訳なさ気に微笑み掛ける。光の微笑みに当夜は無表情を少しだけ崩し、笑みを浮かべたように見えた。
当夜の笑みを見て光の顔の緊張がほぐれ掛けた時、大きな鐘の音が響き渡る。
「もう…時間かぁ」
鐘の音と共に光の顔が強張ったのが分かる。そして、当夜の顔もどこか怯えているように見えた。