聖女か魔女か
□5.扉とはノックしてから入るもの
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『っ!!!』
久々に見る悪夢のせいかアリアはベッドから飛び起きた
しかし先程の夢は怖いよりも
『……?……なんの夢だっけ…』
昨晩仕事を終え、帰ってくるなりいろいろと忙しかったせいか
自室のベッドに倒れこんで寝てしまったのだ
『朝飯作らなきゃな……ん?』
そして先程から立ち込めるこの異臭……
嫌な予感を持ちつつ平常心でドアを開けると
「おっ目ぇ覚めたか、おはよう」
とリーランドが台所で異臭放つ汚物(後の朝ごはん)を持ちながら話す
ねぇなにそのダークマター
なんで動いてるの
「朝飯作ったから、アリアの分も用意しといたぞ」
そっかエリートはこんなもん食ってるから頭いいのか
凡人でよかった
え…てか、それ私のなのか…
似合わないエプロンを着たリーランドは可愛らしい笑顔で言っているものだから
尚更『そのダークマターが朝飯か?』なんて言えなかった
絶対泣く
『……桃は?』
そういえば先程から桃が居ない
いつもならこの時間起きてる筈だが
「あぁあいつなら朝飯食う前に出掛けてくるって言って出てったぞ」
逃げたな
「まぁあいつの分も作っておいたからラップでもしとく」
運命は避けられんぞ…桃め……
アリアは黒く笑いながら席についた、懐に胃薬を忍ばせて