短文・他

□誇り高く
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何も知らない僕は
泣く事も知らず
ただ、ただ
停止する

何も知らない僕は
笑う事も知らず
ただ、ただ
決壊する


僕の中の何かが激しく音を立てて、僕は鳴咽にむせるんだ。

じゃなきゃ。
僕の指先が細かく震えて、やがて全身が揺れるんだよ。


  『誇り高く』


僕は背中に目が付いていないから、他人に嘲笑されているのが分からないんだ。
無知は罪悪だって、いつも顔を合わせる人が言ってた。
「そうだね」って、僕は答えたけど。
実の所、理解なんてしてないんだよ。
だってその時は、いつも餌をあげているカナリアに夢中だったからね。
そいつ、良い声で鳴くんだぜ。
首をクイっと傾げた様子なんて、最高なんだ。

で、何だったっけ?
ああ、無知は罪悪って話しだったね。
僕だって皆より特別優秀なトコだってあるんだ。
お腹が痛くて仕方が無いって時。
僕なら、ずうっと長い間、それこそ朝から晩まで我慢してられるんだぜ。
どうだい、凄いだろう?
この事を前に誰かに話したらね…、あれ?誰に話したんだっけか、忘れちゃったよ。
隣に住んでる、お姉さんだったかな?そうそう、この娘はとっても可愛いんだ。
顔は特別美人って訳でも無いんだけど、チョットした仕草が良い感じに可愛いんだよ。
僕が一等好きなのは、何か緊張した時に自分を落ち着かせる為に、あの娘は肩先辺りまで伸びた髪を両手で撫で付けるんだ。
その時の感じが凄く可愛いらしいんだ!
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