□旅路
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『旅路』


風吹き花散る薄紅の
舞いて巻く風 雨粒を誘う

肌寒さに揺れ動く風景と
汚れた地面を嫌う自分とが交錯する錯覚

一度下がった気温に
体温は二度上がり
冷ます雨粒は
子供心の無邪気さを呼び込んで
逆上せてしまう

足は重いが気分は軽く
跳んで走って頭の中で
それは小さなくだらない事でも崩れてしまう
純真の模造品
誘い込む悪戯に泣き明かす

ざわめいた陽の温もりは
木陰で休む鳥へ目を細めさせた

後は雲を追って行くだけ
まだ見ぬ空へ

険しい風の表情のおかげで
不安げで愚図な若者を
関せず見過ごした

選ぶ権利はあるだろうから
好きに進む

寒さが肩を抱いたなら
眠りの頃合い

目覚めたならば
旅の始まり

終着は
この旅に主題を付けるまで




逆上せ(のぼせ)
 

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