詩集

□《詩集E》
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『桜恋唄』


寒そうな桜
その美しさを忘れてしまえたら
好きに泣けるのに

忘れません
たとえ壊してしまっても
いつもあなたが桜であった事


風に揺れる枝振りの
空にも映える美しさ
舞い踊る花びら達は
触れれば砕ける薄氷のよう

艶やかな薄紅はいつか
別の色へと変わるでしょうか
その根の氷を溶かせたら
あなたは果たして変わるでしょうか
それが悪いとは申せませんが
今のあなたの姿に私は
息も止まらんばかりに見惚れて
変わらぬ時を願うのです

寒そうな桜
その美しさを忘れてしまえたら
好きに泣けるのに

けれども
それを望まぬ者もいるのです
ごめんなさい






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