詩集

□《詩集E》
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『猫』


高い空に飛ぶ鳥が
たとえば私だったなら
披露する歌は
限りなく広がっただろうな

けれど私は
下から見上げるだけの猫
背伸びだけが得意なの


洗濯したての白いシャツ
風になびく清潔さ
汚したいのよ
私に白は似合わないから

そうね私は
黒っぽい猫だから
純真さをさらけ出す訳にはいかないよ


小鳥を食べたら怒られた
なぜかしら
あなたは親鳥を食べていたのに

なにせ私は猫だから
火あぶりなんて残酷な真似
できやしないわ

いくら黒っぽい私でも
そこまで無理な背伸びは
したくないもの
猫舌だから





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