詩集

□《詩集C》
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『空と桜と私の風』


どんなに
自分を偽ったところで
目を細めて世界を見れば
風に乗る鳥も地を滑走する

空に手をかざして
ながれる雲に嫉妬するのは
隔てる硝子に気付けない苦しみ

やさしい風が春を告げ
世界に生色を見る頃
私の愛する桜がうたう

そして私は嫉妬する
やさしい風
愛する桜
届かない空
硝子のむこう側

いつか! いつか!
目を開いて
私の風で
硝子を砕き
空に桜に近づいてみせる

空を吹き抜ける私の風と
うたう桜に寄り添う私
愛する世界が見える



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