詩集

□《詩集D》
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『梅雨エレジー』


停滞する空気に圧し潰され
芳香剤の強襲にむせる

扇風機の回転数は毎秒どのくらいなのかを数え
目が追い付かずその働きぶりに感心

読み掛けの文学は意味を無くし
創造主の天才は紙切れの墨に戻ったみたい

ターボライターのターボさに驚嘆しつつ
脳卒中の危険性を約1.7倍高めて

雀と鳩のにわか演奏を聞きながら
徐々に空気を圧し戻し
犬とカラスの飛び入りで
なけなしの気合いを棄てて眠りに白旗

次の目覚めが爽やかであるように
素敵な夢を朝日に願おう




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