詩集

□《詩集D》
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『桜と思わば』


溢れる人の群れの中
夢うつつ
紛れ込めていたら
拍手喝采の朝

飛び抜けた何かを
月桂樹に誓った
昼下がり

夕暮れの空
雨が滔々と語り続け
黒白の視界に色を落とす
原色の濃さのままに

竹林に紛れた桜
咲く事許されず
雨の夜を選び抜け出し
月桂樹の芳香を求める
雨が消し去った事も知らず

広くなった視界の世界
夜明け前の月に照らされ
桜の花は散ることを拒んだ




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