AIR

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笑顔を見せるキミ。




でもその唇は紫色で体は小刻みに震えていた。




「なんか…ごめんね」




そう呟く僕に




「人生初めての釣りだよ。そんなにうまくいかないよ」




笑ってそう言ってくれた。




気の利いたことも言えない、なんにもできない僕にキミは「ありがとう」と言ってくれた。




僕は上着の袖を片方だけ脱ぎ、抱きしめるように震える肩にかけた。




「あったかい」




そう微笑んでくれるキミに言わずにはいられなかった。




「ゆきちゃん」




「ん?」




「好きだよ」




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