素直に
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帰りに寄ったスーパー。
かごを片手にトマトを品定めする。
料理は得意ではないけど出来ないこともない。
不意に背後からよく知っている香水の香りがした。
一緒の匂い。
「よっ」
聞き覚えのある声にハッとし急いで振り返ると
香りの持ち主はやっぱりその人だった。
「松本さん」
「買い物?トマトそんなにじっくり選ぶんだ」
恥ずかしさと驚きでしどろもどどろになる。
「い、いや。あの…」
間を開けず松本さんは言った。
「メシまだでしょ。良かったら一緒にどう?」
「え?」
「いまから友達のとこでパスタ作るんだよね、その彼女もいるから」
「あ、はい」
こうして松本さんの車に乗り込み着いたのは高級なマンションだった。
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