戦の扉
□似たもの同士
1ページ/6ページ
−甲斐の上田城−
幸村の家臣である煌凛は、佐助が任務でいないので、幸村に団子を運んでいた。
「幸村様。お団子をお持ちし「団子ー!!」
かなり近くで叫ばれ、煌凛は耳がキーンとなる。
それがすぐに治ればいいのだが、なかなか治らない。
幸村が大きな声で話しかけているのだろうが、小さくしか聞こえない。
この時煌凛は改めて佐助を尊敬した
何時もこんな叫び声をまじかで聞いているにもかかわらず平気そうな顔をしているからだ。
実際の所、慣れてしまっただけだろうが・・・
そろそろ回復してきたかな?
そう思った時、また幸村が叫んできそうになった。
「叫んだら、お団子没収しますよ」
「!!!そ、それは困る」
いや、私の方が困りますからね
こんな近くだと、完全に耳イカレます(汗)
何とか防ぐ事ができ、ホッと息をつく。
幸村の方を見ると、随分と可愛らしく幻覚も見えた。
幸村に、犬の耳と尻尾が生え、それがショボンと垂れているのだ。
目を擦って確認するが、幻覚が消えない。
「・・・とうとう目がイカレたか」
「団子・・・(泣)」
「ああっ!」
幸村が呟くまで、団子の存在を忘れていたようだ。
すぐに団子を差し出し、笑顔でどうぞと言う。
勿論予め叫ぶなと忠告してから・・・
「かたじけないでござる!」
どんどん団子が無くなっていく。
おかしい。
団子は約20人分ぐらいはあった筈だ。
「煌凛殿、すまぬが茶はあるだろうか」
「あ、今お持ちしますね」
「かたじけない!」
クスッと笑い、台所からお茶を持ってくる。
幸村の前でお茶を注ぎ、そっと渡す。
お礼を言ってからお茶を飲み、残っている団子を食べる。
こんなに毎日食べているにもかかわらず太らないのは、その分鍛錬をしているからだろうかと考える。