戦の扉

□似たもの同士
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−数日後−

鍛錬をしていた煌凛の許に、佐助が来た。

「猿飛殿、如何なさいましたか?」
「いやね、煌凛ちゃんが旦那とこの前一緒にいたって聞いたからさ」

それがどうしたと言いたいとこだが、何気に佐助が楽しそうな雰囲気を纏っているので言わないでおく事にした。
とりあえず刀を鞘に戻して佐助と向き合う。

「確かに、数日前お団子をお持ちになった際ご一緒しましたが・・・やはりあの事を怒っていらっしゃるのですか?」
「あの事?」
「いえ、聞かされていないのでしたらいいです」

小さく溜息をつくと、佐助が近付いてきた。
何だろうと首を傾げていると

「ちょっと来てもらうよ」
「へ・・・?」



アレ、こんな返事前もしたような・・・
気のせいかな?



「んじゃ、行きますか」
「ん?・・・ひゃぁぁΣ!!」

煌凛をお姫様抱っこして何処かへ向かう。
その間、落ちるのではないかと思い、反射的に佐助の服を掴んでいた。

(可愛いとこもあるね〜♪)










「はい、と〜ちゃく!」
「ここ・・・茶屋、ですか?」

何故か近くの茶屋に連れてこられた煌凛。
不思議そうに首を傾げていると、馬の蹄音が聞こえてきた。
まさかと思い振り向くと、幸村が嬉しそうな顔をして駆けてきた。

「ゆ、ゆゆゆ幸村様Σ!?」
「そっ♪旦那はココの常連だよ」



父様達がよく
“幸村様がいらっしゃらないぞ〜!!”
と騒いでいた理由が分かった・・・(呆)



呆れて溜息をつくと、佐助が耳打ちしてきた。

「旦那、ココに来るの楽しみにしてるから、怒らないであげてね」
「は、はい・・・」

笑顔の筈なのに、笑顔に見えない。
引きつった表情で返事をすると、幸村が2人に気付いた。

「佐助!・・・と、煌凛殿!?」
「俺様が連れてきたんだよ。んじゃ、俺様は大将に呼ばれてるから戻るね」
「「ええっっ!!」」

黒い羽を数枚残して消えてしまった。
暫く驚いたまま固まっていたが、ぎこちなく向かい合うと、幸村が話しかけてきた。

「と、とりあえず茶屋に入らぬか?」
「ご一緒して、よろしいのなら・・・」

一緒に入ると、茶屋のおかみさんが笑顔で迎えてくれた。

「まぁ、本日は奥様とご一緒ですか?幸村様」
「お、奥方ではござらん!////」

それだけ強く反論されると、少々心が痛む。
勿論何故心が痛むか、煌凛は分かっていない。

「私は幸村様の家臣、煌凛と申します」
「あら、これは失礼しました。ささっ、幸村様。本日もおいしい団子をご用意してありますよ」
「かたじけない!!煌凛殿も食べましょうぞ!」
「はい」

ニコッと微笑むと、幸村の顔が赤くなる。
それに気付いたが、理由が分かったのはおかみさんだけだった。



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