Horimiya
□雨風の音
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ざあー……ごろごろごろ…
雨と風の音がする。
時折窓の外が光るので、雷も近づいているのだろうか。
今日は朝から風が強く、雲行きも怪しかった。
そういえば、田中の様子がなんとなく変だったな
なんか不安そうで、すこし挙動不審な気がした
まぁ俺の勘違いだろうけど
そう思って布団にもぐりこんだ時に、ケータイが鳴った。
…チャラッチャーチャー…ピッ
「…あいあーい」
≪もしもし井浦!?田中ですが寝てる!?≫
「井浦ですよー起きてるよーどうしたのー」
≪雨降ってる!助けて!≫
「今夜は野宿なの?」
≪ちっげーよバカ!!俺ダメなんだよ!夜の雨とか一番イヤなんだよ来て!!≫
「あー、他の家族は旅行って言ってたな」
≪そう!俺ぼっちなんだよ!う、わあー!!光ったあーー!!!!≫
「うるさっ」
≪うわあああもうやだあああ≫
「わかった、わかったから!行くから!」
≪早く来てええお菓子持ってきてえええ≫
「さり気なくパシんな!とりあえずテレビ見といたら!」
≪[ピンポーン]ひっっ!!!……あ、石川来た!≫
「ちょ、あと何人呼んでんの」
≪あと宮村も呼んだ。ケーキ持ってきてくれるってえええああああまたひかっ…いしかあーー!!!≫
≪うるせぇ!もしもし秀か?≫
「石川?そっちどういう状況?」
≪とりあえず田中は机の下だな≫
「地震じゃないからね!もう俺もポテチ持ってそっち行くわ!」
≪…楽しんでるだろ≫
「…ちょっとだけ」
≪あああいしか、いしかあああ[ピンポーン]うああああああ誰か来たああああ≫
≪宮村だろ!お前が呼んだんだよ!!≫
「ちょ、今から行くから!」
≪おー、風も強いし気を付けてな≫
「おー!」
俺は急いでポテチを持って家を出た。
傘を差し、水の溜まった道をバシャバシャと水しぶきを立てながら走ったが
水音は風と雷の音にかき消されてしまった。
そんな非日常に、俺はどうしようもなくワクワクしていたのだった。
雨風の音は
騒いで掻き消せばいい
(田中は床で寝たの?)
(ああ、俺らも雑魚寝するか)
(そうしよー、もう眠すぎる…布団使っていいよね)
(明日休みでよかったねー)
(おやすみ)
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嵐は怖いけど来るとテンションあがるねって話