Horimiya
□忘れたエイプリル
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俺は親友の井浦と話していた
俺さ、記憶障害で
なんでもすぐ忘れちゃうんだ
待って井浦、聞いてよ嘘じゃない
大声出すなバカ
俺にとっては、忘れることより覚えることの方が何倍も難しい
難しいっていうか、無理なんだよね
ある程度までの記憶はあるよ、だから自分の名前も両親も隣のお爺ちゃんも覚えてる
なんでここにいるのか?
なんでだろう、なんか探してるんじゃないかな
母さんからもらった紙に、「見つけたらわかる」って書いてあるんだ。
どうみても自分の文字なんだけどね。
俺が思うに、探してるのは記憶かな?
他の人は、嫌なことがあると忘れたいんだって
忘れられないから。
俺は嫌なことがあっても、絶対忘れたくないなあー
そう思ったこともいずれ忘れるんだけどね。
あと俺にも好きな人がいたはずなんだけど、忘れちゃった。
忘れられなくて苦しむ人もいるけど
大好きだった人を忘れるのと忘れられないのとでは
どっちが不幸なんだろうね。
あ、そういえば、
き
み
は
だ
れ
?
俺は知らない緑色の髪を見て言った。
彼は「笑えない」と言って
俺を殴った。
忘れたエイプリル
(ごめん井浦、覚えてるよ
お前みたいなうるさいの忘れるわけないだろ
ほらもう、泣くな井浦)
(…嘘じゃないって言ったから…)
(…それさえも嘘だよ)
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特に深い意味はない