Horimiya
□Good morning, Good night
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『あいし』
て
る
―――― 心臓が止まる寸前に、
こいつができる前に絶対言いたいと思っていた
言葉は心臓が止まれば途中までしか出せなかった
唇は最後の一文字まで動いていたのに
自分の鼓動が聞こえなくなった瞬間、こいつの鼓動が確かに聞こえた
最後に心臓を動かすスイッチを入れた瞬間、やっと完成したこいつが見えなくなった
一瞬だけ目が合ったかもしれない
十分だ、おやすみ ―――――――――――
―――――――このループを止める気は、何故かなかった
でも、俺は俺の鼓動が体中に響くより先に目を開けた
あいつの瞳を見つけた瞬間、あいつの瞳から光が消えた
唇が 「 て る 」 と 動いたのが見えた
一拍だけのあいつの鼓動と、『あいし』の言葉を聞いた
最後の息を吐く音を聞いた
一瞬だけ同じ時に生きていた。一瞬だけ静かに狂喜した
おはよう、あいつの抜け殻
今度は俺の番か よし、始めよう
俺を作ったあいつは、またいない
まずは血液からかな ―――――――――――――
俺の体重は21.3g増えて
あいつの体から同じだけ減った
―――― ―――― あ ー あ 、 ―――― ―――――
言い訳
おしまい