Horimiya
□そめる
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井「ねえねえ」
田「はいはい」
井「犯罪に手を染めるって言うじゃん、」
田「うん」
井「悪い仕事をやめる時は足を洗うって言うじゃん」
田「そうだね」
井「手は染まったままじゃんね」
田「そうだね」
井「ちょっと田中、聞いてるのー?」
田「聞いてるよ」
井「変じゃない?」
田「変じゃないよ。犯した罪は何をしようと消えないんだから、足を洗おうが何をしようが一度罪を犯した手は永遠に汚いままじゃないといけないんだよ。日本語ってうまくできてるよね」
井「それマジで?」
田「例えば井浦がその手を血で真っ赤に染めたとしても俺は好きだけど、社会はお前を嫌う。もしかしたら井浦の家族までもが『秀、お前は人を殺したんだ』と咎める。俺はそれが悲しい」
井「(リアル…なんで田中そんな笑顔なんだ!なんで石川は普通の顔してんだ!)」
田「だから井浦はずっとその綺麗な手のままでいてね」
井「…うん」
田「実際はこういう意味じゃないんだけどね」
井「えっ何それ」
田「そもそも、“手を染める”という語源は“一度染色屋を始めると、その手は一生元に戻らない”ということからという説があるんだ。ただ、“染める”ではなく“初める”が元々の意味だというのが有力な説で、“手を初める”が当初の表現で、新しい事とりわけ商売などに着手するというのが元来の意味合いだったようだけど。
一方、“足を洗う”の語源は、仏教でうんたらかんたら」
井「へえー、てか今日田中どうしたの?」
田「分厚いホラー小説を読破した達成感に満ち溢れています」
井「(それでさっきのか)」
田「それで、わかってくれた?」
井「聞いてなかった」
田「かわいいなあもう!」
井「変なヤツ!そんな所も好き」
石「よそでやってくれ」
そめる
(俺の手は綺麗かどうかわからないけど)
(え…どういう意味だよ…)
(さっきミミズ触ってから、手洗ってないの)
(こっち来るな)
(だってあんな道の真ん中にいたら危ないじゃん!)
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ミミズはどこに行きたくてたまに道の真ん中にいるんでしょうね