Horimiya


□無意識に
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「あー行っちゃったー。井浦がうるさいからだー」

「いっ、あ、えー!もー!」

「はー、だりぃ」

「ほら、保健室行くの!」グイッ



ガタガタン!




井浦が腕を引くと、田中は立つことなく床にしりもちをついた。

予想だにしていなかった状況に、2人とも茫然とする。





「…え」

「…あれ」

「田中!歩けないの!?」

「そのようだな」

「なんで冷静なんだああああ」

「落ち着け井浦、とりあえずおんぶしろ」

「なんでこんな偉そうなんだ…」

「跪け!乗れねーだろ!」

「あーもう」




熱があるからか、テンションがおかしい。


自分と同じぐらいの背丈の田中をよっこいせと背中にのせる。




背中が異常なほどに熱くなるので、これはヤバいんじゃないかと焦る井浦の足は自然と速くなった。



それにだんだんくしゃみや咳が出てきている。

こんなに弱った田中は見たことがない。






「っくしょい」

「田中熱い!服越しでわかるってヤバいよ」

「俺は寒い…へっきし!」ずびっ

「ちょっと、大丈夫?」

「……さむ…」

「うわああああああ死ぬなあああああ」

「うるせぇ…」









「…げほっ」

「田中!着いた!」

「……あー…布団…」

「先生ぇー!」

「あらあら」






















田中は自分が寝ているベッドの端に誰かが座っている気配を感じて、

ふと目を開けた。





頭がぐらぐらして気持ちが悪い。


緑の頭を呼ぼうとして出した声は、思った以上に小さく、掠れていた。




「………ぁ」

「…田中?」

「…いうら」

「大丈夫?水飲む?」




ちょっと熱下がったっぽいね、と言いながら井浦は田中の額に左手をあてた。

冷たくて気持ちがいい。





「……」

「…!」




思わず右手で井浦の左手をおさえる。


暑い。
近くになにか冷たいものはないかと思う。







目の前に井浦。




俺の左手は無意識に井浦の頬に伸びた。

























無意識とは意識がないという意味でありまして

(はー、快調快調!あれ?井浦どした)
(この子覚えてないの!!!)







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たまには寸前で終わってみる

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