Horimiya


□論理のページは破って紙飛行機に
1ページ/1ページ




テレビを見ていたら、最近いろんな番組で顔を出すようになった脳科学者が女性の胸の癒し効果について説明していた。
巨乳にはその見た目や柔らかさで男性の母性を刺激して癒す効果があるとのこと。
ほう、癒しとな。
俺は癒しより興奮させる効果の方が強いのではないかと思うんだけどと姉に言うと殴られた。
一方貧乳は抱き合った時に心臓の鼓動が伝わり易く癒せるとのこと。
私でも男を癒せるんだと姉は感動していた。
抱き合う男がいればの話だけどなと言うとまた殴られた。
そんなんだから彼氏できないんだと言っても殴られるだけなので目を瞑った。
ところでそれって、貧乳でいいなら男同士でもよくね?

と、思ってさ!!」

「まじかよ!でもなんで井浦なの?」

「そこに井浦がいたから!」

「登山家?」

「なーお願い!これレポートにまとめて安田に渡して反応を楽しむ計画に協力してくれ」

「よしやろう」

「…」

「…どう?」

「お前が女だったらもっとドキドキするんだろうけどな…」

「そうだな…」

「いやしかしこれはこれで…うん…」

「? ちょっと」

「眠くなるな」

「あったかいしなー。保健室行く?ベッド借りる?」

「いやベッドで抱き合ってたら普通にアウトだろ…」

「だよな…」

「はー抱きしめてくれる彼女欲しいなー」

「もう貧乳でも巨乳でもどっちでもよくなったきたわ」

「まじか。悟り開いた?」

「いや。ぶっちゃけ胸あったらなんでもいいわ」

「それ悟ってるよー」

「そう?あは、ちょ、擦り寄らないでくすぐったい!」

「あはは、くすぐりハグ攻撃ー!」

「きゃー!」

「きゃー!だって、女子みたい!」

「あはははっはははは!ちょっと田中っ、腹筋が!割れる!ははははっ」

「はははは!くすぐりハグ攻撃は筋トレにもなるスグレモノです今すぐお買い求めをー!」

「うははははは!」

「あはは、はは…」

「ははは…」

「…」

「…」








不意に、笑いが止まって


抱き合ったまま、お互いの目を見つめ合ってしまった。




近い距離で見た相手の瞳は、笑い過ぎて潤んでいて、

まるで誘われるかのように





どちらともなく









「…」

「…」

「……俺ら、なんで今キスしたんだろう…」

「…そこに唇があったから?」

「登山家?」

「あは、これレポートに書く?」

「んーこれも研究結果だから止むを得ない!」

「相手が井浦だとか書かないでよね!」

「まっかせーなさーい!あ、もうこんな時間じゃん」

「うわ、もう暗くなってるー」

「冬は暗くなるの早いなー」

「あ、帰りコンビニ寄っていー?」

「いーよ、俺も肉まん買いたい!」


























論理のページは破って紙飛行機にして
見えないところまで飛んで行け
(ハグについてのレポート…?なんだこれ)
(貧乳とハグすると鼓動が伝わって癒されると聞いたので実験しましたー!)
(ほう。そして結果は)
(キスがしたくなりました)
(それ癒されてるのか?)
(でもあったかくて眠くなりました)
(ならよし。いやよくない、誰と抱き合ったんだお前!)
(あーっ下校時刻だ!バイバイ安田ー!)
(おいお前明日尋問するからな!)


--------
「付き合ってるの?」と聞かれたら「えっなんで?」と否定から入る2人。
仲良すぎて周囲からはそうとしか見えない関係なのに当人たちは普通だと思ってるので質が悪い


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ