お題企画

□10.カミングアウト 柳明音
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「さあやってまいりました今回のお泊り会場は石川家でございます!広い!」

「広い!!」

「うるせえな」

「さて夜も更けてまいりましたが、」

「井浦は誰に喋ってるの?」

「お前らだよ!!そしてえーここでさっさと寝てしまっては面白くない!ということでね、えー今回のお題は恋バナで、えーございますが宮村と仙石さんはさっさとご就寝されておりますね!いいですねー彼女持ちは我関せずといったところでしょうか!」

「最後の方適当に言っただろ」

「だめだよ石川、井浦が一生懸命やってるんだから見守らなきゃ」

「田中さん黙っててくださる!?もーいいよこのMCやめる!!ハイ恋バナだよ!喋るのよ!」

「先生!明音が眠そうです!」

「んんんん明音もうちょっとがんばろ?特にお前の恋バナに興味津々なんだよ俺ら」

「がんばります…」

「柳の初恋はどんな子だったの?」

「……」

「あーこれ聞いてないわ。意識レベル地底だわ」

「田中は知らないのかよ、幼馴染なんだろ」

「うーん…明音と出会って10年になりますが俺ら恋バナしないって決めてるから知らないわ」

「えー!なんだあ!」

「決めてるって何、ルール?」

「そうそう。小学校の頃にクラスメイトを好きになって明音に相談しようとしたんだけど、
話し合いの結果、男が男に相談したところで女の子の気持ちはわからないし
自分の恋愛を人のアドバイスでどうこうするもんじゃないよねって結論に至りまして」

「それ小学生がする話じゃないね」

「明音は生まれた時からモテてたから、恋愛に関しては悟り開いてた。ってかもう2人とも眠そうな顔をしていますが寝るの?」

「羨ましい…!眠い…!」

「俺もう寝るわー」

「えー井浦と石川の恋バナ聞いてないんですけどー!俺あんま眠くなんですけどー!」

「おやすみ田中ー!」

「井浦元気じゃん!」








「……」

「あ、明音おはよう。まだ4時だよ」

「…悠介」

「ん?珍しいな機嫌悪くないの」

「…」

「…」

「僕がなんで、恋愛の相談はしないってルール作ったか知ってる?」

「ああ、聞いてたんだ。知らないよ、なんでだったの?」

「悠介の恋の話を聞くのが、辛かったからだよ」

「…うん?あ、そうなの」

「…わかってない、わかってないよ悠介は」

「えっなに?ごめん怒んないでよ」

「ほかの人の話をしてほしくなかった!僕だけを見ててほしかったんだよ」

「明音?」

「悠介が好きだったんだよ!」

「…それは、ライクではなく?」

「れっきとしたラブだよ!!」

「ちょちょ、声でかい!みんな起きる!」

「悠介は知らないんだ、片想いがどれだけ苦しいか」

「でもお前…由紀に告白してたじゃん」

「だって君たちは従兄妹で血が繋がってる。似てたんだよ、どことなく」

「…」

「……」

「……」

「………ごめん、わすれて」

「あかね、」

「僕は寝ぼけてた」

「寝ぼけてないだろ」

「寝ぼけてたよ、いつもみたいに。寝ぼけて変なこと言ってしまったんだ」

「明音は知らないだろうけど」

「…?」

「明音が由紀に告白したとき、俺すごく苦しかった」

「…気のせいでしょう」

「クラスメイトのゆいちゃん覚えてる?お前に最初で最後の恋愛相談した子」

「…短いポニーテールの子」

「そ、あの子ね、お前のことが好きだったんだよ。それに気付いた時と同じくらい、心臓が痛かった」







僕の10年は、無駄じゃなかったと思っていいの

是非

本当に君は、鈍感だ

確かに鈍感な俺の10年は無駄なところが多かったけど、その空白の分も明音の気持ちを受け止めるから

それはよくわからない

そっか

うん


















10.カミングアウト

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