お題企画
□13.空中分解 マルコ
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マルコは食堂でランチを嗜んでいた。
それはただの日常であり、生活である。
しかし悠介はそれを信じられないとい目で見つめていた。
「マルコお前それ…何食ってんの…」
「フライドチキン」
「……!!」
「どうした、顔色悪いよい」
「…それ、共食いって言うんだよ……」
ゴン!
殴ることないじゃん、とたんこぶを撫でる悠介は、しかし嬉しそうである。
どうやら構って欲しかっただけのようだ。
「あ、お前今晩空いてる?」
「空いてるが…なんだ、またかよい」
「今日天気良いしさ、絶好じゃん」
「そうだな…星も綺麗に見えるだろい」
「やだぁ、星だなんて!マルコったらロマンチストなんだから〜!」
「お前だろい!」
「うひひ!じゃあまた夜お前の部屋行くわ!」
「おー」
何も知らない人間から見れば、恋人達による夜の逢瀬の約束のようだろうが、彼らは他の白ひげ海賊団の仲間と同じ兄弟であり、家族だ。
しかしマルコでなければ、悠介の欲求は満たされない。不死鳥の異名を持つ彼でなければ。
「キャーー!うわあああっはははははは!!見えるかマルコ!手が届くぞ!!!」
「こら、ちゃんと捕まってろい悠介!」
約束の夜、満点の星空には子供のような無邪気な笑い声が響いた。
青く燃える鳥の姿となったマルコの背に掴まり、夜空を飛び回るのが悠介のただ一つの趣味で、三度の飯よりも好きなことだった。
マルコのアクロバティック飛行で宙を落ちたり跳ね上がったりするうち、ぽつぽつと浮いていた雲よりも上へ上へ。
星が降りそうな夜空に2人ぼっちだ。
三日月が笑っている。
マルコは背中に掴まっている悠介の顔を見ることはできないが、こいつもまた笑っているのだろうと思うと、何故か自分まで口角が上がっていくのがわかった。
星の瞬きが聞こえそうな空に目を向けたまま、囁くようにして悠介が言う。
「マルコ、変身解いて」
「はっ!?そんなことしたら死ぬよい!」
「死ぬ前にまた不死鳥になるんだよ!」
「ああもう、何がしたいんだか」
マルコが溜め息と共に変身を解くと、もちろんそのまま2人は落下していく。
風の音に負けないくらいの大声をあげる悠介は理由はよくわからないが楽しくて仕方がないらしく、ずっと笑っていた。
フォオオオアアアアッハッハッハァ!落ちてるぞマルコォ!!
ああ落ちてるよい!!なんだよ何がしたいんだお前!!
趣味に高所からの落下が追加されましたァーーーー!!!
おれは手伝わねェぞい!!!
13.空中分解