宝箱

□だいすきな声
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U−17日本代表候補の合宿に参加しとる俺は今、大阪から離れたとこにおる。


突然現れたコーチに2人組を作ってください!と言われ、俺は白石と組んだ。
ダブルスでもするんやろか…と思っとったらまさかのシングルスの試合で、しかも今組んだ相手と、やから白石とっちゅーわけで。
負けた方は脱落。すなわちこの合宿所を去らなあかんくなるわけや。

その後白石とやった試合は、7−3で負けてもうた。でも、めっちゃええ試合やったから後悔とかはない、むしろ満足したっちゅー話や。






この合宿には、四天宝寺からは光とユウジ以外は全員参加。って、なんで光のヤツめんどくさいとか言うて参加せえへんの!千歳かて参加しとんのに!(ユウジの理由は知らへんっちゅー話や!)


……ほら、な?やっぱり離れると会えへんし、寂しいやんか…。いつも一緒におるからよけいやな。

あぁ、光に会いたい。




「謙也さん」


ついに幻聴まで聞こえてきたで…
俺、どんだけ光んこと好きやねん。


「無視するなんてええ度胸したはりますね、謙也さん」

「っいだだだだ!!耳!痛いで!」


ぎゅー、と耳を引っ張られた。ほんま痛いっちゅーねん!
って、こんなことやるヤツはアイツしかおらんっちゅー話や!

聞き覚えのある声、一番大好きな人の声、今一番聞きたかった声。
まさかまさか、と振り返ってみるとそこにいたのは、


「っひ、かる…!!」

「なんちゅーマヌケ面したはるんですか。ひどい顔ですね」

「〜っお前なぁ!ここにおるはずのない人物がおったら誰でも驚くやろ!」

「…謙也さんに会いに来ました」

「へ?」



ひ、光が俺に会いにやて?!

いつも俺んことをうざい、ヘタレ、スピードバカと言う光が(あれ、俺先輩か?)、俺に会いにわざわざここまで…!


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