短文
□おめでとうおやすみ
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ドガーン!!
星明かり降る静かな夜に一発の爆発音が鳴り響いた。
「旦那〜お誕生日おめでとうございや〜す」
それは10月10日午後11時56分の出来事。
「・・・・・・。」
「あり?人がわざわざ祝いにきてやったってのに既に床の中ですかぃ、随分なご身分ですねぇ」
右手にバズーカ、左手にバースデイケーキの皿を抱え現れた少年。
その少年が尋ねた人物は、この日めでたく誕生日を迎えた万事屋オーナー、坂田銀時である。
「・・・あのさ沖田君さ、今何時だと思ってんの?」
「心配いりやせんぜィ旦那。見てください、時計はまだ57分を指してます。あんたの誕生日にゃあちゃんと間に合いやしたから」
「そーゆーことじゃねーんだよ!!こんな夜中によく人の家にズカズカと上がり込めるなぁ!?おまけにバズーカまでぶっ放しやがって近所迷惑だコノヤ・・・ブゴォ!!?」
銀時の言葉も聞く耳持たず、沖田は銀時の顔面目掛け勢いよくケーキを押し付けた。
「ハッピーバースデー旦那。細かいことまでネチネチ言うようになっちまって、また一つオヤジに近づいた証拠ですねィ。」
「・・・祝いに来たの?イジリに来たの?」
そう問いながらも顔面で生クリームを受け止めた銀時は、それを指で器用に掬い、口に運んでいく。
「何言ってんですかぃ、最高のサプライズでしょう?」
沖田はそう言うと、普段とは異なるクシャッとした可愛いらしい笑みを浮かべてみせた。
不意打ちだった。
その姿は銀時にはかなり珍しいものだ。
つい凝視していた己に気付くなり、銀時は平然を装い慌てて沖田に問う。
「つーか、何でお前が知ってんだよ、誕生日」
「あんたんとこのクソチャイナが今朝、んまい棒大量に抱えて騒いでやがりましてね」
そう答えると沖田は銀時の頬のクリームを自らの舌で舐めとった。
「ふーん、まさかお前に祝われるなんて思ってもなかったわ」
「何行ってるんですかい、俺と旦那の仲でしょう」
「どんな仲だ・・・『ドガーンッ』
刹那、居間の押し入れの襖が勢いよく飛んだ。
「こんのサドヤロー!!
寝てるところに襲撃するとは卑怯なヤツネ!私が返り討ちにしてやるヨ!!」
次に飛び出したのは自称万事屋マスコット神楽。
威勢良く飛び出して来たかのだが鼻には巨大な鼻ちょうちんを携えていた。
どうやら寝ぼけているらしい。
ユラユラと安定しない体を起こすと、二人のいる寝室に猛突進。
「くらえェェ!!カグーラチョォォォップ!!!!!!」
チョップと言いながらも出たのは鋭い飛び蹴り。
その餌食になったのは銀時。
「ちょ、神楽ちゃん!?こんなところで暴れるのはやめなさい!!
つーか俺サドヤローじゃないから!!」
「ブハハハ!!悪の組織め!私の」三色豆パンに手を出した罰アル!
月に代わってお仕置きネ!!!!
バリーン!!
「悪の組織でもねーから!!」
銀時に向かって鋭い攻撃を繰り出している神楽。
「おっと、次の日になっちまった。役目も果たしたことだし、ここらで失礼しまさぁ」
そんなこんなを数分傍観していた沖田は部屋の時計を見て呟く。
「おじゃましやした〜」
騒がしい二人を後に、沖田はすたすたと頓所へと帰って行った。
その後も万事屋には悲鳴が鳴り響いていたという。
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遅れた、では済まされないくらいには遅れすぎた銀誕短文です・・・。ぎんたんたんぶんです。(ちょっと口に出して言ってみたくなりました)
実はこれ、去年書いた産物なんですけど、ひっぱり出してきちゃいました。
短文にも入らないくらいの短文です・・・本当にすみません・・・