BL短編
□愛情表現法
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「アンタばかですかー?あ、すみません。ばかなんでしたねー」
「・・・テメェ刺すぞ」
「やれるモンならどうぞー」
今日もつまらない事で口論を始めたがいつもすぐにキレてナイフを投げてくるベルが妙に静かで返事にもやる気がない。
なんか調子狂うんですけどー。
「なんかセンパイが妙に静かで気持ち悪いですー」
「王子は大人だからカエルの相手なんかしねぇの」
「・・・へぇー」
そう言ってナイフを磨き始めるベルをソファに座ってじっと見つめるフラン。
「お前いつまでいんの?用無いんだったら早く自分の部屋戻れよ」
「・・・・・・」
何ですかねー。イライラしますー。
「堕王子が1人じゃ寂しいと思って優しいミーがいてあげてるのによー」
「オレはガキか」
いつもならここでナイフの1本飛んできてもおかしくないのに。
痛めつけられて喜ぶような性癖を持っているわけではないのに胸に広がる感情。
「わかりましたー、もう戻りますねー」
胸がモヤモヤする。
逃げるようにドアノブに手をかけたところで
フランの顔の真横をナイフが2、3本横切ってドアに刺さる。
「そんなにかまって欲しかったワケ?」
ドクンと心臓が波打ち、胸の中につっかえていたものが溶けていくような感覚に陥る。
「ミーは子供じゃないんでー」
自らが発した言葉に何故か胸が痛み、反対に何かを期待している自分がいる。
「素直になれって」
首に腕を回され、背中にベルの体温が伝わる。
フランは大きく目を開いて驚いて硬直状態。
「王子に構って欲しかったんだろ?かんわいー」
「・・・っは?アンタ本当にばかなんですねー。
何でミーが」
そこまで言うと強制的に向き合う形にされ、抵抗する間もないまま口付けられる。