BL短編

□秋風と温もり
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「っぅー・・・」




冷たい秋風が頬を掠め思わず身を震わせる。
10月ともなれば気温も下降の一途を辿り、もうすぐしたら吐く息も白くなるのかな、とか頭の片隅で思ってみる。



「センパーイ」

「やっと来たクソ蛙」


王子待たせるとかどういうことだよ、と突っかかってやろうかと思ったけど別のそんなのどーでもいいや。



「あー・・・寒っ」

「王子はこの気温の中で待っててやったんだけど」

「仕方ないじゃないですかー。ボスが報告書にケチつけるんですもん」

「お前がちゃんと書きゃいいだけだろーが」



えー、とか言ってすこしふてくされたフランの頭をくしゃくしゃと撫でてから歩き出す。



「待ってくださいよーベルセンパイ」

「あん?」


隣にいそいそとやってきたフランがオレの右手と自身の左手をあわせお互いの指をしっかりと絡みあわせる。



「せっかくデートするんですから恋人繋ぎでー」

「買い物しに出掛けるだけじゃなかったっけ?」

「それをデートっていうんですよーバカ王子ー」

「しししっ、わかってるっつーの。ちょっとからかってみたかっただけ」



軽くフランの頬にキスをして、絡ませた手を強く握り歩き出す。


先ほどまでの寒さが感じられないのは繋いだ手の温もりと、それとは別の温かさが胸を占めているおかげか。
ふわりと木の葉を舞い上げる風が心地よく思えた。



















秋風と温もり
(センパーイ次はあのお店行きましょー)(ん、いいぜ。あとで何か食わねぇ?)(ミー甘いものー)(王子ホットミルクティーがいい)

〜fin〜  →
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