BL短編

□薬指に愛をのせて
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いつの日か誰かが言った。

王子にむかってあんな生意気な事いうヤツなんていないのに。
頭の中でまるで霧がかかったように霞んだ姿。
眩い翡翠が揺れて、また揺れて。


戸惑ったような、悲しむような。
白磁の肌をそっと涙が伝い。




そしてゆっくりと、淡い唇が紡いだ。



















「―――――・・・・・・!!」





最近必ずと言っていいほどこの夢を見て目が覚める。
毎晩人の夢の中に出てきては、"堕王子"などと言ってオレを馬鹿にする翡翠の少年。

だがその瞳には人を馬鹿にするような皮肉らしさの欠片も無く、悲しい目で何かを訴えているような、願っているような。




「・・・・・・何なんだよ」




モヤモヤする頭を乱暴に掻き回して、上体を起こす。
1人で寝るには大きすぎるこのベッドで自分以外のものが眠りにつくことなどありもしないはずなのに。


そっと左腕を伸ばして冷たいシーツを撫でた。
















『――――・・・じ、』




・・・またお前かよ。
いつも王子の夢に出てくんのやめてくんない?



『――・・・だ、ぉ・・・』



お前さ、誰に向かって言ってんの?
いい加減にしねぇと




『センパイ』




・・・・何言ってんの、お前。








『ベル、センパイ』










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