微熱ト戯言。

□あるいは誰かが誰かを愛すると決めた日の様に
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『あるいは誰かが誰かを愛すると決めた日の様に』


「いーたん、いーたんいーたん。」

「何だよ暑苦しい。」

今何月だと思ってるんだ。
正確には12月。
…暑苦しい筈がない。

でも暑苦しいものは暑苦しいんだよ。

体操座り。

そう、小学校の時によくやらされたあの座り方。

ぼくが体操座りで大人しく俯いているところへ、お馬さん(これもまた懐かしい)になりながらひょっこりと顔をつきだしたのは他でもない零崎だった。

「いーたん」

「…っ顔が近い!!!」

「は?顔近付けなきゃ、ちゅー出来ないじゃん」

…なんなんだこいつ。

零崎が本当に零崎であるのかさえも確信が持てなくなったぼくは、とりあえず零崎から逃れるように目を逸らす。

しかし零崎は特に気にした様子もないようで、何事も無かったかのようにぼくを押し倒した。

…おい待て。

「…、何、してんだよ」

「えっちぃこと。」

だから待て。
何でそうなったんですか。
意味が分からないぞ。

ああでも、考えてみれば零崎が意味不明なのはいつもの事。

ああ、なあんだ、いつも通りだ。そうだよ。いつも通りじゃないか。










「…ってンな訳あるかあっ!!!!!」

「うおいーたんノリ突っ込み!!?」

調子にのって首筋に歯をたてた零崎を撥ね飛ばし、ぼくは勢いよく立ち上がる。

ダメだダメだ。
流されちゃダメだぼく!!
今日は絶対流されないと決めたんだ…!!

というか決めた!
今決めた!!!

「なにいってんのいーたん。いーたんに拒否権はねえ!!つかそもそも拒否って何。ンなもんいーたんには必要ナッシング!!!さあ、俺を受け入れるんだ!!!!!」

うわあ零崎が壊れたどうしようどうしようどうしよう!!!!

「ちょ、マズイ、さすがにぼくも焦った。落ち着くんだ零崎、まだ巨大隕石は地球には旅行してこないから。だからとりあえず服の中に潜り込んでいる手を退けろ!!」

「いやだ」

「…っちょ、零ざ」

だからなんでこうなった!!

訳の分からないままに床に縫い付けられ、背中がみしりと痛む。

脇腹の辺りを擦られるのを感じながら、急に合わせられる唇に驚いた。

「ん、んんっ…!!」

「…いーたんえっちぃことしよー?」

「も、しれるじゃんっ」

「もっと」

「ん、ぅ」

口内に無理矢理入ってくる零崎の舌先。
脇腹で蠢く指に身を捩る。

流されないって言ったけど。
これって、流されてると言うよりは無理矢理されてるだけなんじゃ…?

「…っは、ぁ…も、やめろってば零崎…っ」

「いいから」

「…の、変態っ!!」

「……」

あ、れ?
零崎が黙った。
というか停止した。

本来ならここで逃げるべきなのだろうが、あまりの突然さに思わず零崎を見詰めてしまう。

「零、崎…?」

「………………おいコラ」

「…はい?」

おいコラって。
ぼくは何もしていません寧ろ悪いことしてるの貴方ですよ零崎さん。

「お前今俺を変態と言ったな」

ん?ああ、確かに。
そういえば変態と言った気がする。

「許さねぇ。ぜってぇ許さねぇ。泣いても許さねぇ。つか寧ろ泣け。つか泣かす。覚悟しやがれいーたん」

「は?…ちょ、え?!う、わ」

いきなり何を言い出すかと思えばそれで、いきなり何を仕出かすかと思えば。

自分の着ていたTシャツを脱ぎ捨てて。
ぼくの着ているTシャツを剥ぎ取り。

ぼくの両腕をぼくの頭上に押さえつけ、胸元に舌を這わした。

「な、なにっ?!やだっ…」

舌先で弄ばれ、不覚にも身体が反応してしまう。

なんなんだよ全く意味が分からん!!!なんで急に…

「…っんん…ぁっ」

「気持ちいい?」

「…ばか、違っ…っぁあ、やだやだ待っ…」

「嫌じゃないじゃん。いーたんホントここ弱いよね」

なんだよ。
なんで「変態」って言っただけでこんなに怒ってんの?

「意味分かんな…っ」

「泣かすっつったじゃん。今夜は──泣かせて暴いて犯して殺さず、晒してやんよ」

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