Ash&Snow

□Ash&Snow 12
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 ――――――抱きついた、十五歳の少年の体は。
 やはり、記憶にある彼のものとはまるで違っていて。
 そして―――まるっきり、同じだった。

 抱きしめると腕の中にすっぽり収まってしまっていたその小さな体は―――成長期只中の少年のものに変わっていて。
 それでも、私を抱きとめてくれる手のぬくもりと優しさは、全く変わらずに、あの人のままだった。


 だから。
 何度目かの抱擁は、私をただ苦しめるだけのものでしかなかった。




  Ash & Snow 12





「どう・・・・・・して、」

 ―――どうして。
 その先は、言葉にすることはできなかった。

 だから、そうする代わりに彼に抱きつくしかなかった。
 そうでもしなければ、泣いてしまいそうだったから。

 この少年に出会ってから、自分は心をかき乱されてばかりだ、と乱菊は半ば八つ当たり気味に思った。



「朝からずっと、お前があんなに弾けまくってたのは・・・不安だったからか?」
「不器用なんだな、お前は。」 
「他にも俺に出来ることがあるならやってやるから。だから―――もう少し肩の力抜くんだな。」


 どうして、そんなことを言ってくれるのだろう。
 不安、だなんて、そんなこと。
 自分自身ですら気付いていなかったのに。

 それなのに―――どうしてこの人は、私を安心させるような言葉を言ってくれるのだろう。
 あの頃と何も変わらない仕草で、まるで子どもをあやすように私の頭を撫でながら。





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