Ash&Snow
□Ash&Snow 13
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夢だと思った。
すごく幸福で・・・それでいて、ひどく悲しい夢。
だって、そうとしか思えないでしょう。
あの人、に。
再び会えるのはきっと、自分が死んだときだと思っていたのだ。
死神でありながら―――死んだ先に何があるのかさえわかっていないのに、それでも死んだ後には彼に会えるのだと。
そう信じていなければ、きっと生きてはいけなかった。
それなのに、私の願いは唐突すぎるほど唐突に叶ってしまった。
その予兆すらなく。
私の前に現れた、15歳の人間の少年。
その姿も、その眼差しも、私を呼ぶ声も、霊圧さえも――――――全てが彼のままだった。
外見ばかりはまだまだ子どもだった彼が、正しく健やかに成長した、その姿。
その姿が視界に映る度に泣き叫びたくなる気持ちを抑えるのに、必死で。
こんなことでこれから先、霊力が戻るまでやっていけるのかと。
自分を叱咤しながら私が笑っていたことを、きっとあの人は永遠に知ることはない。
けれど、それでいいのだ。
どうせ、別れなければならないことはわかっているのだから。
だからせめて―――そのときが来るまでは。
再び――――――きっと今度こそ二度と会えなくなってしまう、そのときまでは。
あなたのそばにいても、いいでしょう?
昔と同じように、誰よりも近くにいても。
束の間の夢に浸っても、いいでしょう?
ねぇ、隊長。
あなたなら、そんな我が侭も・・・きっと、許してくれますよね?
Ash & Snow 13
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