Ash&Snow

□Ash&Snow 10
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 簡単に部屋の配置を説明しながら―――冬獅郎はふと尋ねた。
「・・・そういや、ゆうべ壊れた壁が見事に修復されてたのは一体どういうわけだ?」
「あぁ。死神のアフターケアってとこですよ。ちょっと知り合いに頼んでちょちょいのちょいっと直してもらったんです。」

 ちょちょいのちょい。
 そんな簡単に、あそこまで破壊された建物が元に戻るというのなら、ぜひその方法を教えてもらいたい。
 そう呆れながら・・・冬獅郎は、深く考えることはすまい、と思って。

 それ以上に―――気になっていた話題を、口にした。

「・・・あの腹の傷もか?」
「まぁそんなとこですね。」
 躊躇いがちに尋ねると、乱菊はにっこりと微笑んだ。
 何でもないことのように言い切る彼女に、冬獅郎は眉を顰めた。

「大丈夫・・・だったのか?」

 あんなにひどい怪我だったというのに。
 昨日、血だらけの彼女を腕に抱いたときの恐怖と衝撃は、はっきりと思い起こすことができる。

 それなのに乱菊は―――それを微塵も感じさせずに笑った。
「大丈夫ですよ。それも知り合いにちゃーんと治してもらいましたし。仕事柄、怪我には慣れてますから。」 
 そんな風に言われても、気にせずにはいられない。
 あんな光景―――二度と、見るのはご免だった。


「知り合い・・・か。そいつも死神なのか?」
 なんとなく気になって、冬獅郎が問いかけると。
 乱菊は困ったように、ケラケラと笑ってみせた。
「細かいこと気にしないでくださいよー。それとも、そんなに私の交友関係が気になりますかぁ?」
 こっちは真面目に話しているというのに、これだ。
 乱菊の揶揄するような視線に―――冬獅郎は無意識に反論していた。
「これっぽっちも。」
「えーっ、日番谷くんってばつ〜め〜た〜い〜!」
「妙な声出すな!」
 怒鳴ってしまってから、冬獅郎はものすごく不愉快な気持ちになった。
 上手く話をはぐらかされてしまった気が・・・した。






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