mainT 短編・中編
□クオリア
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「このヨーグルトのソース、私が作ったんだよ?」
「え?」
「乾にレシピ聞いて。」
「い、乾先輩!?」
「うそ。自分で調べた。疲労回復に持って来いだよ。
安心して好きなだけかけて食べてください。」
「はぁ。……で、話って?」
俺はプレーンと思われるヨーグルトに、
りみお手製のフルーツソースをかけた。
いちご……か?
「……うん。あのね……。
私、栄養士になりたいの。」
「栄養士……。」
「うん。そう。」
りみ、もうちゃんと将来のこと考えてるんだな。
栄養士か……。あれだよな、給食とか……、栄養指導とか……。
そういえば、よく彩りのいい弁当作ってきてくれたりしてた。
このフルーツソースも、甘すぎなくておいしいし。
「だからね、今からしっかり勉強したいの。
そのために……高校は外部に行くことになったの。」
「え……。」
進路の話をされたところから、なんとなくイヤな予感はしていた。
「外部って……、家庭科なら青学の高等部だって……。」
「うん、そうなんだけどね……家庭科に力を入れてる高校もあって、
やっぱり、少しでも早く専門的な勉強もしたかったから……。」
「そうか……。」
「でもね!学校はこの辺ではないけど、都内だし、
試合の応援とかはどこの学校に行ってもしようと最初から思ってたし……。」
ってことは、外部へ行くことは前から考えてたってことか。