Tell me about U!

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「もう1度、頭からいきます。」
「「はい。」」

ライバルズ内でわかれて、というか
氷帝の久保田さん、細貝さんは他のみんなとは別の部屋で、
私が2人をみることになった。
他の人たちはダンスやらなにやらしているようだけど、
こっちはまず歌だ。

「……もう少し、1つ1つの音を大切に歌ってみてください。」
「「はい。」」

しばらく練習してると休憩の指示が出た。
私は自分で持ってきたドーナツを黙々と食べながら
今後のスケジュールを確認していると久保田さんと細貝さんが
お茶を持ってこっちにきた。

「竜崎さん、お茶どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
「竜崎さくのちゃん、アメリカに留学してたんだっけ?」
「はい、そうです。」
「コイツもアメリカ暮らしだったんだぜ!」
「そうなんですか!?」
「はい、2年前くらいまでシアトルに住んでたんです。」
「へぇ〜!」

知らなかった。細貝さんはふわ〜んとしてるから、
アメリカってイメージはなかった。

「竜崎さくのちゃんはアメリカのどこだっけ?」
「ニューヨークです。」
「そうですよね、ミュージカルといえばブロードウェイですしね!」
「Oh!Broadway!I know,I know!」
「悠来ちゃん、いつもこんなんですから気にしないでください。」
「はぁ…。」

なんとなく、わかってたけど久保田さんって、
とっても……個性的だ。

「それにしても、NYなんてスゴイですね。」
「そんなことないですよ。
 マサくんだって、NYにダンス留学したことがある
 って言ってましたよ。」
「『マサくん』って、中河内雅貴!?」
「え、はい……。」

なにか、マズイことを言ってしまった?
久保田さんのお茶を口まで運ぼうとしていた手が止まった。
細貝さんも、目を見開いている。

「『マサくん』って呼んでるのか!」
「は、はい……。マサくんにそう呼ぶよう言われまして……。」
「へぇ〜!なんか意外!」
「じゃあ俺たちの事も
 『圭くん』『悠来くん』で!
 あ、俺は『キング』でもいいけど!」
「はぁ。」

とりあえずキングとは呼ばないと思いますけど。

「俺たちも『竜崎さくの』って呼ぶか!」
「え!?悠来ちゃん、
 竜崎さん、上島先生のお弟子さんだよ?」
「『さくの』でいいですよ、お二人とも。」

なんで、このカンパニーはこんなに名前にこだわるのか。
きっと次は……

「わかりました。あ、さくのちゃん、敬語じゃなくていいですよ、
 俺たちが指導されてる側ですから!」

やっぱり。
いい加減この会話も面倒になってきた。

「うん……。じゃあ……圭くんも。」
「!う、うん!」
「圭、何照れてんの?」
「えぇ!?て、照れてないよ!!」

その後も久保田さ…悠来くんになぜか英語で色々質問された。
「Do you like sushi?」とか、
聞いてどうするってことばかりだったけど。
圭くんはずっと笑って見てて、別に助けてくれるわけでもなく。
いや、別に困ってたわけじゃないからいいけど。

休憩の後は他のキャストさんも来て稽古をすることになっている。
胸あたりまで伸びている髪を、
後ろで1つに束ねて、気合を入れなおす。

「圭、さくのに見とれてんのか。」
「ちょっ!悠来ちゃん!別にそんなんじゃないってば!!」
「いいって、隠さなくて!」




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