Tell me about U!

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「上島先生、おはようございます。」
「おう!」
「昨日の夜、母から電話がありまして、よろしくと。」
「おぉ!!マリリン元気だったか!?」
「えぇ、相変わらずでした。」
 
昨日の夜、突然電話が鳴ったと思ったら、
仕事でパリにいる母からだった。
「マリリン」と言うのは母の大学時代のあだ名らしい。
恥ずかしいから止めて欲しい、
昔先生にそう言ったけど、
「マリリンはマリリンだ!」と言われただけだった。
 
「今どこにいるんだっけ?」
「パリです。
 来年には日本に戻ってくるそうですけど。」
「そうか、そうか!また連絡きたらよろしく言っておいてくれ!」
「はい。」
 
パリには元々2、3年の赴任予定だったから、
来年には日本に戻るらしい。
 
「ねぇ!さくのちゃん!」
「宮本さん!おはようございます。」
「おはよう!
 上島先生とさくのちゃんのお母様って、
 どういう関係なの??」
「あぁー、大学時代のサークル仲間だそうですよ。」
「もしかして、昔の恋人だったりするんですか!?」
「んな!そりゃマリリンは美人だけどよ!」
 
先生が言うには「マリリン」はみんなの憧れだったそうだ。
そして当時母には付き合ってた人がいたらしい。
さすがさくのちゃんのお母様ね!と宮本さんは言ったけれど、
どこがさすがなのか全然わからないし、
自分の母親のそんな話を聞くのはなんだか恥ずかしい。
 
「さくのちゃんのお父様もステキな人なんでしょうねぇ!」
「さぁ、どうでしょう……。
 私が小さい頃に離婚したので、よく覚えてないんです。」
「そうだったの!ごめんなさい……。」
「いえ!気にしないでください!」
 
そう、まだ私が1、2才の頃、両親は離婚している。
父親とは離れてから1度も会っていないので、
当然、私は父のことは全く覚えていない。
母から父のことも聞いていない。
でも、先生は私の父親を知っているようで、
小・中学生の時に気になって
少しだけ話を聞いたことがあったくらいだ。
でも、詳しくはわからない。
 
「強いて言うなら、さくのの父親は俺だな!!」
「あぁ、そうでした。先生が父親みたいなものですね……。」
 
残念ですが、と付け加えると先生はちょっと不機嫌になった。
そしてスタッフさんに呼ばれどこかへ行ってしまった。
 
「ふふっ!前から思ってたんだけど、本当に親子みたいね!
 上島先生とさくのちゃん!」
「えぇー、フクザツです……!」
 
そんな話をしているとキャストも集まってきていたので、
私も着替えてアップしなくてはならないし、
宮本さんも指慣らしをしなくてはいけないため、
おしゃべりはおしまい。

 

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