Tell me about U!

□10
1ページ/4ページ

 
四天宝寺の歌の練習。
譜読みはとっくに済んでいるし、
歌の稽古が初めてというわけでもないし、
まだ問題点は色々あるけれど、
とりあえずもう歌えるものだと思っていた。
Aはもう少し音取りをしっかりした方がいいかもしれない。
でも、Bはそれ以前の問題のような気がする。
 
「Aはもう一度音取りしてみましょう。
 Bは、まだわからないところとか、不安なところとかある?」
「あ、いや!特に分からないってわけじゃ……。たーは?」
「うん、俺も大丈夫。」
「だったら、もっと感情入れてみて。
 四天宝寺って、そんな大人しい学校じゃなかったと思うんだけど。
 今の曲、頭から。」
「「はい。」」
 
それからしばらくしても、
スランプなのか、なかなかBは良くならない。
Aは、まぁそれなりにはなってきている。
このままではよくないんだけど、どうすればいいんだろう。
 
答えが見つからないままダンスの稽古に入った。
 
「さくのちゃん!ちょっとええ?」
「!なに?」
「あんな、ここなんやけど……なんか、違う気ぃして。」
「あぁ……邑弥くん、そこ0.5拍速い。腰の位置も高い。」
「そっか!」
「うん、ハルくんのよく見て。
 ハルくんも気づいたことがあれば言って。」
「えぇー、ハルくん見るん?」
「どういう意味だよ!」
 
なぜかハルくんに見てもらうように言うと
邑弥くんの頬はちょっと膨れた。
 
「だって、ハルくんに教えてもらうん、なんか悔しいやん!」
「だからってさくのちゃんも他の仕事あるんだし、
 迷惑かけないの!俺でガマンしなさい!」
「しゃーないなぁ、もう!
 じゃあさくのちゃん!今度絶対俺にだけ教えてな!」
「……はぁ。」
「邑弥、なに言ってんの!?」
 
こっそり練習しようってことかな。
邑弥くん、ものすごく負けず嫌いで熱心なんだろう。
でも、私じゃなくて新之助さんに頼んだ方がいいと思う。
私の方が年が近くて言いやすかったのかもしれない。
結局、なかよく2人で練習が再開した。
 
それからスグ、全員で合わせることになった。
 
まずは四天宝寺Aと寿里くんとメインキャスト。
やっぱり、ライバルズや青学にちらちらミスする人はいるけれど、だいぶ良くなった。
 
つづいて四天宝寺Bと良太郎くん、サポキャス。
やっぱり、まだたーくんとヒデくんは本調子ではなさそうだ。
 
「……さくの、今日お前、何やってたんだ?」
「!!すみませんでした。」
「意味分かってんのか?」
「はい……。」
「なかよしこよしの学芸会じゃねぇんだ。
 何のためにNY行ってたんだよ。
 ……もういい、次の曲!」
 
久々に、先生に怒られた。
多分、私がついていながら、どうしてあの2人はあぁだったのか、
ということだろう。
私にもわからない。
どうして、2人は本調子じゃないんだろう。
 
四天宝寺のいない曲をその後にやって、
最後にF・G・K・Sの練習をして、今日の稽古は終わった。
 
 
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ