Oh,my SWEETY*

□I'm home!
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「さくの〜!!ただいまぁ〜!!!」

「パパ!おかえりなさいっ!!」

「元気にしちょったかぁ〜??」

「うん!でも……パパにあえなくてさみしかった……。」

「さくのっっ!!」

「パパぁ〜!!!」

私たちの6歳になる娘、さくのはインターホンが鳴って、
パパだとわかると走って玄関へ行った。
そして、パパがさくのを抱っこしながら、リビングに入ってきた。

舞台のために大阪へ行っていた、
俳優で我が家の大黒柱であるマサが5日ぶりに帰ってきた。


「おかえり。」

「おう、ただいま、ママ。」

「パパ!おみやげは!?」

「ちゃんと買ってきちょる!」

「やったー!!なになに!?」

パパは私にコートを渡して、大きめな袋からガサゴソとお土産を出し始めた。

「まず、『食い倒れ人形ストラップ』に『堂島ロール』だろ?
 あ、ちゃんとママと仲良く食べろよ?あと、『たこ焼きようかん』に…」

「「たこ焼きようかん!?!?」」

「ん、おもしろいだろ?」

「おもしろーい!!」

相変わらず、何考えてるんだか。
一緒におもしろがっているさくのを見ると、
パパに似たんだなぁーなんて思う。

「あと、『大阪限定キティちゃん』!」

「わぁ〜!!かわいいーっ!!」

「さくのの方がかーわーいーいー!」

キティのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめるさくのをパパが抱きしめてる。
微笑ましい光景だけれども、
ここはどこの動物園だ。そしてパパはどこのギャルだ。

「さくの、そろそろお部屋戻って、お寝んねの時間だよ。」

「えぇー!まださくの、パパとおはなしするっ!」

「だーめ!明日も幼稚園でしょ!パパも疲れてるのよ?」

久しぶりにパパに会えたのが余程嬉しかったのか、
いつもならもう眠い時間のはずなのに全然部屋に戻らない。

「さくの!絵本読んでやるから、一緒に部屋もどるか!」

「うん!」

まったく、さくのはパパの言うことならいつもあっさり聞くんだから、困ったものだ。

パパがさくのを抱っこして子ども部屋へ行って、
しばらくしてから、パパはリビングに戻ってきて、ソファに座っている私の隣に腰を下ろした。

「おつかれさま、パパ。」

「いや、逆に疲れ吹っ飛んだわ。」

「そっか、それは良かった。お風呂入る?」

「りみも一緒に?」

……ニヤニヤしながらこっち見ないでよ。

「何言ってるの。もう私はさくのと入りました。」

「それは残念。……はぁー。
 さくの、大丈夫じゃった?」

マサはソファの目の前のテーブルの上にある、
さくのの幼稚園のプリントに目を通していた。

「大丈夫だよ、誰かさんに似て、体も丈夫みたいだし。
 でも、パパがいなくて、ちょっとだけ寂しそうだったかな。」

「さくのだけ?」

マサはプリントから顔を上げて、私を見つめて聞いてきた。

「何が?」

「寂しかったの。」

「……私はちょっと慣れたかな…。」

「俺はさくのにも、りみにも会えなくて、寂しかったのぉ。」

そう言って、マサは私を抱きしめてきた。
たった5日だけど、5日ぶりのマサのぬくもりに、心が温かくなる。
やっぱり、私も寂しかったようだ。

「……私も、寂しかったよ、マサ。」

ぎゅっと抱き返すと、さらにキツく抱きしめられた。

「明日、3人でどっか行こうか?さくのの幼稚園終わったら。」

「マサお休みなの?」

「うん。とりあえず、明日と明後日は。」

「じゃあ、お家で3人でゆっくりしよ?」

「……。俺、りみと結婚して、ホントよかった。」

「私も、マサと結婚できて、さくのにも会えて、しあわせだよ。
 さくのにも、マサみたいな人と結婚して欲しいな。」

本当にそう思ったから言ったのに、バッとマサの体が私から離れた。

「……そんな話、今からしなくてええじゃろ。」

「あ!そういえばさくの、最近幼稚園の『しょう君』と仲良しみたいでね!」
「聞きたくなか!!もう寝る!おやすみ!!」


あ……。
「しょう君に『パパみたいな人と結婚したい!』って言ってた。」
って言おうと思ったのに……。


翌日、マサが幼稚園の送り迎えをして
『しょう君』を探していたのは言うまでもない。




→あとがき

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